幅允孝さんが来られました
11月27日、「本のあつまるところ」の第二回は、ブックディレクターという新しい職業を確立され、さまざまな場所に本棚をつくられている幅允孝さん(BACH代表)をお迎えし、彼の仕事と本というメディアの展望についてお話いただきました。
「TSUTAYA TOKYO ROPPONGI」や「HANDS BOOKS」などの本屋、「千里リハビリテーション病院」や広島の結婚式場「The South Harbor Resort」に置かれたライブラリー、そしてインテリアショップ「CIBONE」の本コーナー ― これらはすべて幅さんがつくられてきた本のあつまるところです。
本にまつわる仕事をはじめた青山ブックセンターで、本が売れにくく、売れることがいかに奇跡的なことであるかを目の当たりにした幅さんは、だったら本のあるところに人を呼ぶのではなく、人のいるところに本が出ていけばいいんだと思うようになったそうです。
その思いをもってつくられた「TSUTAYA TOKYO ROPPONGI」で幅さんがつかんだのは、「幸福な事故を誘発する本屋」がつくれたという実感でした。そしてその実感は、何の気なしに入ってきた人が、偶然知らない本と出会い、新しい何かを知ことができる場が本屋だという考えにつながっていきます。
とてもとても力強いこの言葉は、BACHの宣言であり、出版を取り巻く状況が悪化していくなかにあって、人と本との出会いをよくしたいという幅さんの思いをもっとも端的に表していると言えるのではないでしょうか。