茅ヶ崎高等学校文楽部に見学に行ってきました(第一回)


先週の木曜日に、乙女文楽講師の桐竹あづま師匠が指導していらっしゃる、茅ケ崎高等学校文楽部に見学に伺いました。


皆さん、「乙女文楽」という芸能をご存知でしょうか?
大正末期から昭和初年にかけて大阪で誕生したという乙女文楽。戦後、桐竹師匠のお母様である、故・桐竹智恵子師が茅ケ崎に本拠を置き、現在は平塚市の文化財として保存されています。
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桐竹智恵子師(右)
一般に知られている「文楽」との最も大きな違いは、文楽では、男性の人形遣いが三人で一体の人形を遣うのに対し、乙女文楽では、その名の通り女性の遣い手が一人で一体の人形を遣う点。人形を自分の身体に固定し、全身を使って人形を動かします。そのためよりいっそう繊細な表現が可能なのだそうです。
茅ケ崎高等学校の文楽部は、なんと50年もの歴史があるそうです。
当日は桐竹あづま師匠と息子さんである桐竹祥元さん、部員のみなさんが迎えてくださいました。
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9月の文化祭に向けてお稽古に励んでいる文楽部の皆さんに「傾城阿波鳴門」の一場面を見せていただくことに。
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まずは人形の支度です。
こちらは「傾城阿波鳴門」の登場人物、お弓さんの頭(かしら)。
口元に小さな針のようなものがついているのが分かるでしょうか?これは大人の女性の人形にだけついているもの。何のためについているかは、後ほど見ていただくとして…
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手は肩板のところに紐で固定します。
この肩の丸みは、へちまを使っているそうです。
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頭(かしら)を胴に差込み固定します。
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左が桐竹あづま師匠。
人形の頭(かしら)と遣い手の頭部を結ぶのは三味線の糸です。遣い手が右を向けば、人形の頭(かしら)も右を向き、左を向けば人形も左を向きます。これは、遣い手の微妙な動きが全て人形の動きに反映されるということ。繊細な表現が可能、ということは高い技術が必要ということでもあります。
三味線の糸は、新品だと力のかかる耳の付け根などが切れてしまうため、使いこんだものでなくてはいけないのだとか。
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腰に胴金と呼ばれる器具をつけ、そこに人形の胴を差し込み固定します。胴金はかなりきつく巻くため、慣れないと腰が痛くなるそうです。
人形の足の部分は、膝頭の少し上につけた足義(あしぎ)という器具に固定します。腕は、人形の袂に後から手を入れ、操作します。
手前にしゃがんでいるのは後見(こうけん)の生徒さん。重要な役割です。人形の遣い手の後に控え、小道具を渡したり、座る場面では椅子を出したり、また立つ場面では椅子を引いたりと、芝居の流れを止めないよう、筋をきちんと理解し、よどみなく動く必要があります。こちらの文楽部では一年生は皆、後見から始めるのだそうです。
支度が整ったところで、次回は、いよいよ、文楽部の皆さんによる「傾城阿波鳴門」をご覧いただきます!

18. 7月 2009 by CDC STAFF
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