新シリーズ「本のあつまるところ」がはじまりました
11月20日、「メディアをめぐる、7つの話」につづくトークセッション第二弾「本のあつまるところ」がはじまりました。その幕開けを飾る第一回は、今年春に『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(晶文社)を出版された都築響一さん(編集者)をお迎えしました。
都築さんは、ご自分がいま編集・執筆されている本や特集記事の紹介をされながら、なぜ本を出されるのか、どんなことを伝えたいのかを話されました。その語り口は軽快ながらも、「伝える」ということに対する熱い思いがこめられていました。
参加者全員を惹きこむその思いは、まさに「だれも伝えないことは、だれかが伝えなきゃならないんだ」といえるものです。ただ、そこに妙な義務感や使命感のようなものはありません。ただひたすらに、自分がはげしく共鳴してしまう人に突き動かされているように感じました。
そんな都築さんが共鳴されるのは、彼がいうところの「最底辺」の人たち。
デザインやアートの一般的な評価からすると、隅においやられるどころか、光すら当てられないような分野―たとえばレディコミや雑誌巻末のあやしい広告を出す会社―で「表現」にはげむ人たち。そんな人たちのもつ、ときに金銭欲や情欲のようなものまで入り混じったパッションに揺さぶられ、本をとおしてそれを伝えようとされるのです。
トークセッションの最後には、東尋坊の崖から「どりゃー」と叫んで飛び降りるおじさんの映像を見せていただきました。そんな「しょうもないこと」を、生命と人生をかけてやってしまう心意気は、もちろん都築さんが本を出されるときの心意気に通じているちがいありません。