文化系トークラジオLifeがやってきた!

TBSラジオの人気番組「文化系トークラジオLife」のイベントを、メディアセブンで開催しました。ゲストは、Lifeでおなじみの速水健朗さん(ライター/編集者)と柳瀬博一さん(日経ビジネスオンラインプロデューサ)、そして古市憲寿さん(社会学者)です。
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― 3人の話を熱心に聞き込む参加者
タイトルは「まちのかたち、買い物のかたち」。
都心とも郊外とも地方都市でもない、東京にもっとも近い埼玉県の川口という場所で、東京との距離による消費傾向の差異について考えました。


トークは、古市さんの著書『遠足型消費の時代』で中心的な分析対象となる雑誌「Mart」を題材に議論がはじまります。
「Mart」の想定読者層を「埼玉」と言い切る古市さん。ライフスタイルとしての「埼玉」という意味で、柳瀬さんがいう、バブル期にはなかった、いつもの生活からすこし背伸びしたらできる「おしゃれな生活」です。
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― ゲストの古市憲寿さん
柳瀬さんは、その「おしゃれな生活」にあこがれる30代奥様が、都市と地方と郊外にかかわらず存在することを指摘して、東京との距離はもはや関係ないといいます。
個人的には「生活を謳歌する奥さま」というあり方が何とも地方的な感じもしますが、偏見でしょうか…。
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― ゲストの柳瀬博一さん
その後、学生時代にバブルを体験した40代の柳瀬さん、地方から上京した30代の速水さん、そして川口で育った20代の古市さんが、それぞれの買い物経験をくらべながら、川口の状況もふまえて、いまの買い物のかたちを分析していきます。
百貨店のはずなのに、ABCマートやLoft、ユニクロにテナント貸しをはじめた川口そごうを皮切りに、銀座や青山のファストファッション化がすすみ、地方のイオンで買えるモノと都心のおしゃれな街で買えるモノの差がなくなっていると速水さんが問いかけます。
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― ゲストの速水健朗さん
ただし、東京と地方ではモノへの価値づけが異なるなどの差異があり、同じ商品でもちがった受容のされ方をしているとも指摘されました。
さらに、東京でバブルを体験した40代の柳瀬さん、地方から上京してきた30代の速水さん、そして川口で育った20代の古市さんが、それぞれの買い物経験を比較して、ショッピングサイトや街の付加価値が相対化されていく流れを辿ります。
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― 満員御礼の会場
そのなかで、最後に速水さんから、東日本大震災からの復興に際して、「まちのかたち」をどのように考えるべきかという問題提起がなされ、ショッピングモールのような集約性とネットワーク型の物流システムは有効であるが、過疎地と高齢化への対応が課題だろうという話がなされました。
ただ、東北各地の「まちのかたち」を決める主体はだれか、という問題がどうしても残ります。
行政的な組織、古市さんが著書で「お父さん」と呼んだ層があつまりがちな組織ですが、そうではなく「女こども」の視点を取り込むための術について、消費行動という観点から議論がなされました。
そこで速水さんが提案したのが、消費が政治行動であるということです。
選挙の投票だけが政治参加の手段ではありません。消費行動もまわりまわって政治行動です。何を選ぶのか、何を買うかはモノや企業を取捨選択することであり、買う/買わないで示せる意思があります。そう考えれば、個々人の消費の仕方で世界は変わりえるのです。
議論のタネたくさん残して、文化系トークラジオLifeのイベントは終わりました。

29. 5月 2011 by CDC STAFF
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