「メディアをめぐる、7つの話」、ついにはじまりました!
7月24日、ついに7回連続トークセッション「メディアをめぐる、7つの話」がはじまりました。
その幕開けとなる今回は、多木浩二さんをお迎えし、写真を切り口として人間のまなざしの歴史をひもとき、まなざしの現在と、その背景となる認識の大きな変化についてお話いただきました。
モデレーターの二木麻里さんとぼくからのかんたんな前口上を経てから、多木さんのお話がはじまります。
言葉を慎重に選びながら話される多木さんの、その一言一句を聞き漏らすまいと思われていたのか、その静かな迫力に惹きこまれたのか、会場は水を打ったような静けさと緊張感につつまれました。
多木さんのお話は、ここでまとめることがはばかられるほど濃密で、思考が遠くに跳躍していく瞬間に立ち会うといっても言いすぎではないくらいに強烈な内容でした。
とくに強調されていたのが、写真が生まれる以前から「写真に撮る」という世界の認識の仕方が存在していたが、メディアが存在感が極致に達した現在にあっては、「写真に撮る」対象、すなわち世界そのものが霧散してしまっているということです。しかしながら、その世界の不連続な変化のさなかにあって、生命の煌めきへと立ち返る表現や考えが生まれつつあり、変化の激しさを直視しながらも、その表現の現実性と可能性を扇動的に、しかしながら温かく問われました。
そのお話を聞きながら考えていたのは、これにつづく6組8名のゲストの方たちのことです。もしかしたら今回お呼びする方たちは誰もが、変化のただなかで多木さんの言われた「生命」を感じさせる活動をなさっているのではないかと。
そして、もしかしたら今回のトークセッションをとおして、多木さんからの問いかけに応えられるのではないかと。
お話を咀嚼できていない状態なので、うまく表現することができませんが、今回のお話は基調講演というか、これからのトークセッションの行く方を照らす灯火となり、向き合わなければならない課題となるものだったと思います。
これから10月までつづく「メディアをめぐる、7つの話」がどのような展開をとげるのか、企画者ですらよく分かっていませんが、ご期待いただければと思います。