佐々涼子さん トークイベント
2014年11月ノンフィクションライターの佐々涼子さんをお迎えしました
佐々さんはamazonの印刷マスメディア部門でも1位となりロングセラーとなっている『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている』(早川書房)の著者で、東日本大震災で被害をうけた日本製紙石巻工場が被災によって工場が停止してから復旧するまで、その現場を取り巻く人々を取材したものです。
佐々さんはもともと文章を書く仕事はされてなかったようですが、社会人になってから改めて書くことを学び、ノンフィクションライターとなられたようです
なぜこの工場に焦点を当てたのかということですが、この日本製紙石巻工場は日本における書籍用の紙を作る大変重要な工場で、ここが稼働しないと様々な書籍の販売に影響が出る。そのような現実について全く知らなかったと佐々さんは言います。
一時期は再稼働が出来るのかどうかわからない状況にも陥り、「本が印刷できない」というところまで危ぶまれたそうですが、国内外の他の工場からの援助もあり徐々に復旧作業が進められていきます
しかし大量のがれきが流れ込み、紙類やボイラーが一番嫌う海水に沈んでしまった工場はそう簡単にはもとに戻りません。工場を一日でも早く修復し、再開するために従業員が一丸となって復旧に取り組み再開の日を迎えます
幸運にもこの工場の作業員には犠牲者は出なかったようですが、ご家族を失った方はいらっしゃって、その方への取材などの時はとても語りつくせない気持ちになったといいます
「対象者に取材をするときは感情を移入するべきでないとは頭で決めているけれども、どうしても私は泣いてしまった」と語る佐々さんが印象的でした