平山 亜佐子さん ブラウジングトークセッション
こんにちはヤキュージョーです
2010年11月25日文筆家の平山亜佐子さんをお招きしました
平山さんは普段本の編集デザインなどをされる一方でご自身で本もかかれていらっしゃいます。
とあるきっかけから、破天荒な有名人女性のエピソードをあつめた「20世紀破天荒セレブ」を上梓しました。その後、気になった古い事件をもとに日本人の不良少女についての新聞記事エピソードを集めた「明治、大正、昭和 不良少女伝」を書かれました。文筆家よりもエピソード収集家のほうが適切と平山さん。
平山さんの著作についてお話を聞いてから、先の2作に入れれなかったエピソードを紹介していただきました。
日本における不良少年の誕生は 資料によると日清戦争後と書かれていることが多いそうです。その要因として「書生」の誕生を挙げています。全国から集まって来る若者は今のように貸家が無かったために地縁を頼って下宿し、県人会的な集団を組織する、その集団が基礎となって若年集団ができる。当時の好景気もそれを加速させたのではとの仮説が多いそうです。
そこから硬派と呼ばれる男色と決闘を好む不良集団の原型や平田三五郎という美少年の話にはじまり、丸の内で働く美人不良OL達のエピソードへ
そして平山さんがいま最も注目する女性、本荘幽蘭(ほんしょうゆうらん)のエピソードへ、この女性は常に新聞記者に注目されながら様々なイベントを起こします。自身も新聞記者をはじめとして、茶店店主、ミルクホール店主、俳優、娼婦、講談師へと職業を転々。あるときは博多へそしてあるときは浅草へ、海外へは中国、シンガポール、ボルネオ、(ウラジオストックは企画倒れ)とくに演説を得意としてあらゆる場所であらゆる職業につきます、そして、新聞記者へは大風呂敷を広げるが、ほとんど企画倒れ。この女性はかなり話題の人物だったようであらゆる新聞の記事として残っているのも特徴的です。また記者たちの間の人気者であるとも感じました。
話は存命中の注目している女性の話へうつります。都市伝説的な多摩の女性や、裁判で係争中の殺人事件の容疑者などが挙げられました。最後には平山さんのおおすすめ本を紹介いただきました。そして平山さんの著作の協力者でもある音楽ライターの毛利眞人さんが来場しており、「ニッポン・スウィングタイム」が発売されたとのことで、会場のお客さんにもご挨拶。
この毛利さんの著作は戦後の日本ジャズの歴史の中であまり語られてこなかった部分に着目して書かれた本だそうです。
今回のトークイベントは新聞記事から垣間見るエピソードだけ聞いていてもその本人に会いたくなるような、そんな不思議な体験でした。平山さんの今後の活動もとても楽しみです。
平山さん、毛利さん、そしてご来場の皆様ありがとうございました。
平山さんのおすすめ本はこちら
・『唾玉集 明治諸家インタヴュー集』 東洋文庫 592 伊原青々園/編 平凡社 1995.8
・『浅草 土地の記憶』 岩波現代文庫 山田太一/編 岩波書店 2000.1
・『銀座細見 懐しい街角から、観る・買う・食べる情報まで』 講談社/編 講談社 1993.3
・『大衆紙の源流 明治期小新聞の研究』 土屋礼子/著 世界思想社 2002.12
・『図書館愛書家の楽園』 アルベルト・マングェル/[著] 白水社 2008.10
・『私の古本大学』(松本克平、青英舎)
・『キネマの楽しみ 新宿武蔵野館の黄金時代』(新宿歴史博物館)
・『モダンガールと植民地的近代―東アジアにおける帝国・資本・ジェンダー』(タニ・バーロウ、伊藤るり、坂元 ひろ子 編、岩波書店)
・『19世紀絵入り新聞が伝えるヴィクトリア朝珍事件簿―猟奇事件から幽霊譚まで』(レナード ダウリース 著、仁賀克雄 訳、原書房)
・『下等百科辞典』(尾佐竹 猛 著、礫川全次 編、批評社)