ワークショップ「つながる身体 伝える身体―能における身体技法」(後編)

昼休憩を挟んで午後の部が始まります。
ここからは森田流笛方(能管の奏者)の槻宅聡さんにご登場いただきます。
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まずは能管という楽器についての説明です。
能管は、外見は雅楽で使われる龍笛に似ているのですが、決定的に違うのは、管の中に喉(のど)と呼ばれる短い竹管が入れてあること。そのため、息が通りにくく、吹きにくくなっています。わざと演奏しにくくしているというのは驚きです。
また、喉が入っているせいで、音階が作れないといいます。
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したがって、メロディーを作る管楽器としてではなく、打楽器のように演奏するのだとか。
強い息を使い、その息で叩くように音を出します。
能管には、ひしぎ、と呼ばれる特徴的な音があります。お能をご覧になったことがある方はご存知でしょう、お能のはじまりを知らせる強く甲高い音、あれが「ひしぎ」です。
「ひしぐ」とは、「壊す」という意味だそうで、槻宅さんは、この世とあの世の境目を壊し、つなげる音だと解釈しているそうです。
音楽を演奏する、という意識ではない、と槻宅さん。
笛や太鼓のことを「囃子」と言いますが、「囃子」は「生やし」が語源だそうです。
「生やす」、つまり、お能に使われる楽器は、単なる音楽ではなく、舞台を活性化させる役割を担っているのです。
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「能がこの先滅んだとしても、能管という楽器が残っていたら、能がどういう芸能だったか伝わる気がする」という、安田さんの言葉が印象的でした。
能管の特異性、それはそのままお能という芸能の特異性であるのかもしれません。
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ここからは、実際に能の身体を体験します。
まずは呼吸の練習。ゆっくりと呼吸をしながら、息に声を乗せます。
イヨーッ、ホーッ…
合わせているわけではないのに、だんだん皆さんの声がひとつの音楽のように聴こえてきます。 そこに槻宅先生の笛が加わったとたん、不思議と声が出るようになったという参加者の方も。まさに笛は「囃子=生やし」なのです。
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みなさんが手にしているのは、唱歌(しょうが)といって、能管の音を文字によって表したもの。能管に五線譜の楽譜はありませんが、唱歌が楽譜のような役割を果たします。実際に笛を吹く前に、こうやって声に出して、練習するのだそうです。
演奏するときと同じように強い息で発声します。息で声を叩くようなイメージでしょうか。
 オヒャ リ ト ヒャ リ…
歌のようで、歌でない、不思議な響きです。
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こちらは能の動きの基本、すり足の練習風景。午前の部で緩めた大腰筋を意識します。
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すり足を練習した後、安田先生の謡と槻宅先生の笛と共に、参加者の皆さんが「高砂」を舞いました。
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最後は、講師のお二人と俳優の水野ゆふさんによる、語りの作品の上演です。
お能の「道成寺」の語り、夏目漱石の「夢十夜」より第一夜と第三夜、「吾輩は猫である」の4作品を見せていただいて、ワークショップは終了しました。

19. 2月 2009 by CDC STAFF
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