「つくろう! うたおう! デビューしよう!」で生まれた<うた> その3

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「つくろう!うたおう!デビューしよう!WS」、前園さんによるコメント、その3です。
今回は、ゆりかはしの「消しゴムの夢」について。

■ゆりかはし「消しゴムの夢」

作詞:有本佳蓮
作曲:有本佳蓮
編曲:田ノ岡三郎、冗談伯爵(前園直樹+新井俊也)

メンバー:有本佳蓮、岡田悠暉、齋藤勇人、冨田詩織、渡邊隆介

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<ゆりかはし>は、ワークショップ開始当初から、作品のイメージが明確に出来上がっているグループでした。
高校二年生、グループの中でも、参加者ぜんたいの中でも最年長の有本佳蓮さんは、ふだんからブログで自作の詞を披露しているほどで、表現することにとても貪欲な、中心的存在。
そして渡邊隆介くんはヴィジュアル・ディレクターとして、映像制作に、ジャケット・デザインに大活躍。このふたりを、他のメンバーが懸命にサポートしていく、という図式が、このグループの特色でした(以前に他のワークショップで意気投合した仲間を中心に結成されたようでした)。

ワークショップ初回、チームごとに別れ、テーマを決め、さあ作詞に入ろう――と言うか言わずかのタイミングで、佳蓮ちゃんから、びっしりとフレーズの書かれたノートが提出されました(早さから察するに、すでに用意していたようでした)。
初稿を拝見し、まず、消しゴムの気持ちを歌う、というアイデアが面白い、と率直に感じました。
寓話(たとえ話)としてのエンターテインメント性を感じましたし、メッセージ性も備えていました。ただし、この時点では紙に書かれた詩(ポエム)であって、これを音楽的に仕立てあげていくことが、これからの課題だね、と感想を伝えました。

他のチームがまだ詞を書き上げられず奮闘しているなか、ゆりかはしは、さっそくメロディ作りに入っていきました。
佳蓮ちゃんの鼻唄を田ノ岡さんが聴き、その場で、譜面に起こしていきます。あっという間に【C】パートのメロディが姿をみせたので、メンバー全員、驚きを隠せない様子でした。

以降の作業も、おしなべて順調でしたが、このグループには正直のところ、少し残念だな、と思える側面があったことも、あえて書いておきたいと思います。
その実、全行程において、自分を表現したいという気持ちを優先させすぎるきらいがあり、終始、慢心の色すら浮かんでいました(いつもメンバー間で、仲良く楽しそうに遊んでいたことは、とても良かったと思います)。
<我>を尊重し貫くことは、表現者として、基本的に素晴らしいことだと思いますが、それが度を超してしまうと、他者へ伝わり辛い、ひとりよがりな表現へと陥ってしまう原因になりかねません。

ぼく自身は、受け止めてくれる他者があってこそ、表現は成り立つと考えています。これはつまり、常に自分の作品に客観性をもって欲しい、ということなのです。もちろん、最初からそんなことが出来たら苦労はしないわけですが。
個性的なアーティストほど、実は優れた客観性をもっていて、自分の表し方を熟知しているもの。これからは、そんなことも気にしながら、(表現者として)もっと成長してもらえたら、と思います。

アレンジとレコーディングの話。田ノ岡さんの付けてくださったコード進行が呼び水となり、1960年代のアメリカン・ポップス、といいますか、フィル・スペクターといいますか、ナイアガラ、といいますか――ロマンティックな味付けをすることになりました。
リード・ヴォーカルをとったのは、もちろん佳蓮ちゃん。【C】では、もうひとりの女子メンバー・冨田詩織さんも歌で加わることを提案しました。

みなさんへの感謝の気持ちと、今後への期待を込めて。ぼくの、長い追想はここまで。
「つくろう! うたおう! デビューしよう!」――せっかく<デビュー>したのですから、「ワークショップで作ったんだね、歌ったんだね」で終わることなく、歴然としたみんなの<デビュー作品>として、なるべく多くの方に楽しんでいただけたら幸いです。

08. 10月 2013 by CDC STAFF
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