「まちの断片」第二回 中川 理さん
2009年4月16日「まちの断片」第二回目は建築史・都市論がご専門の中川理をお招きし、ディスニーランダゼイションから京都の景観、大竹伸朗まで様々に語っていただきました。
中川さんが「偽装するニッポン」を書かれた1990年代は、ふるさと創生事業等の国の補助金で様々なディズニーランド的な公共建築が生み出されました。「偽装するニッポン」はこれらの建築物を日本全国から集めてその文脈をさぐるというものでした。
このディズニーランド的とは、大雑把に言えば「押し付けがましい物語化」のようなものだそうです。
しかし、これらの建築物を企画する自治体も真剣に街の活性化について悩んだ結果とのことでした。
新潟の親不知子不知(おやしらずこしらず)と呼ばれる場所の電話ボックスのコンペでは、小学生の絵がそのまま電話ボックスのデザインになったという代物です。見に行った大学生は最初は笑っていたが、その裏にある「デザインのプロは要らない」ショッキングな事実が同時に示されており元気をなくしていたとのことでした。
そのほか、ジョン・ジャーディーという建築家に代表される近年のショッピングセンターの傾向や、体験型ミュージアムが流行している現状を解説していただきました。
従来のプレイスメイキングが建物などの「モノ」であったのが、近年では「場所」に変わりつつあるらしいです。
神奈川県真鶴町「美の条例」の実践や京都の景観条例を例に挙げ、住み手が考える風景と、旅行者のような部外者からの視点は相容れないものであると。
最終的に「自己」と「他者」の二元論を超えることの困難さに直面し、その乖離が常に風景や景観の問いとして横たわっているのです。
などなど風景に関する興味深いお話を聞くことができました。
まちを見る視点がまた増えたように思います。
皆様ご来場ありがとうございました。