「まちの断片」はじまりました。 第一回 伊藤香織さん
第一回目は都市解析の研究者でありピクニックの専門家「ピクニシェンヌ」でもある東京ピクニッククラブの伊藤香織さんをお招きしました。
左手にあるものが、プラスチックがまだ高級品だったころのピクニックセット。メーカーは水筒でおなじみの「THERMOS」。右手にあるものがそれより前の時代のピクニックセット。ケースは本皮でアルコールバーナーを搭載しています。
このイベントでは、街のなかにある身近な問題を独自の視点で掘り下げ、その研究成果を広く発表されている方をゲストにお招きしています。4月の副題は”近所の風景”です
まず「ピクニックとはなにか」からスタートし、ピクニックの歴史。時代背景と繁栄、衰退まで貴重な資料と共にご紹介いただきました。
そしてピクニックセットの中身を解説。見ているだけで楽しくなってしまいます。
ピクニックセット構成物の一例
・コーヒー用ケトル
・アルコールバーナー
・デキャンタ
・サンドイッチケース
・クラッカーケース
・タンブラー(スタッキング収納)
・角皿
・カラトリー
・ジャム(バター)入れ
プラスチック製品の時代になると、魔法瓶が登場し、アルコールバーナーがセットから消えます。この時期ぐらいからピクニックが衰退し始めるとのこと。
そして後半にはピクニックを切り口に風景、都市のはなしへと進みます。
「ピクニックは見られることも意識し、風景の一部であるという嗜みを忘れてはいけない。」と伊藤さん。
東京の一人当たりの公園面積を他の大都市と比較し、その狭さを指摘。
都市が過密化すればするほど公園などのオープンスペースが重要な役割を帯びてくるとのこと。そして「私たちには都市でピクニックをする権利がある」と声をあげるべきと。
都内の各公園の”ピクニック指数”などは都市解析がご専門の伊藤さんならではお話も。
そのほか東京ピクニッククラブのイギリス、韓国での活動をご紹介いただき、ピクニックコンテストのお話も楽しく拝聴させて頂きました。
さて伊藤香織さんの所属する東京ピクニッククラブでは現在、原宿のギャラリーで展示を行なっております。
ご興味のある方は是非足をお運びください。
またゴールデンウィークにはピクニックコンテストも行なわれるそうなのでそちらも是非どうぞ。
次回の「まちの断片」ゲストは建築史、風景学がご専門の中川理さんです。
お楽しみに