メディアセブンの写真学校がはじまりました

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写真評論家の飯沢耕太郎さんを迎えた「メディアセブンの写真学校」がはじまりました。今月から半年間、5つのテーマで写真家を紹介しながら、それぞれのテーマで参加者の方たちの撮ってきた写真を講評します。


今回のワークショップの目標は、ずばりポートフォリオ。手づくりの写真集です。
聞き慣れない言葉かもしれませんが、要は自分が撮りためた写真をまとめた作品目録、いうならば「手づくりの写真集」です。そのポートフォリオを半年かけてつくりながら、撮って終わりではなく、撮ったものを編集して、人に見せるという愉しみを味わっていただきます。
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今日は初回ということで、飯沢さんの著書『写真を愉しむ』(岩波書店)を例に挙げながら、ポートフォリオをつくるときのポイントの解説からはじまりました。
ディスプレイに映っているのは、荒木経惟さんの写真集『センチメンタルな旅・冬の旅』の有名な一枚、黒猫を抱いた女の子の看板を写した写真。荒木さんと奥様の最期の日々を綴った写真日記にはさまれる、一見すると関係のないイメージが写真集にもたらす「味」を、飯沢さんは語っていました。
ポートフォリオづくりの指南を終えた後は、いよいよ写真家の紹介です。
今回のテーマは「人」。写真の草創期から写真家を魅了してきた「人」という切り口で、アウグスト・ザンダー『20世紀の人間』、リチャード・アヴェドン『nothing personal』、ダイアン・アーバス『dian arbus』を取り上げました。
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ディスプレイに映っているのは、リチャード・アヴェドンが「人間とは何なのかということをアヴェドンなりに解釈した」写真集である『nothing personal』の最後の一枚。黒人たちのなかに、白人たちの姿が垣間見えるきわめて政治的なメッセージがこめられた作品です。
20世紀の人間をイメージで表現しようとしたザンダーの壮大なプロジェクト「20世紀の人間」で零れ落ちた「最後の人たち」。1960年代になり人間観の変化とともに写真家は、その「最後の人たち」の特殊性でもって、逆に人間の普遍性にせまろうとします。
その試みが、『nothing personal』の最後の一枚であり、ダイアン・アーバスが撮影したフリークスや精神薄弱者施設の人びとの写真です。
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飯沢さんは、『nothing personal』の最後の一枚を評価しながらも「この意図的な編集がアヴェドンの限界」と指摘し、自らの映し鏡のように「最後の人たち」を写す一方で、世間の大勢の人たちが潜在的に抱えるグロテスクな部分を引き出すアーバスのまなざしの強さを強調していました。
次回11月には、人をテーマに撮影してきた写真の講評会があります。どんな写真が出てくるのか、楽しみです!

09. 10月 2009 by CDC STAFF
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