「まちの断片」 第五回 石川 初さん

「まちの断片」第五回目はランドスケープデザイナーの石川 初さんです
「まちの断片」第五回目はランドスケープデザイナーで地図やGPSに詳しい石川 初さんを招きました。


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石川初さんは現在建築の外構をデザインしたりしています。
もともと地図が好きだったが仕事柄地面や外部空間と接する機会がおおく、また地図を相手にする機会も多いそうです。まちを見るツールとしての地図をご紹介していただき、その実践例をお見せいただきました。
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たとえば駅前地図で現在地がどこかを示していることが地図を理解するときに重要で、我々は地図をみることによって自分がどこにいるか把握して街の構造を見て取ってどちらに向かうか決めるからなのです。山手線のカタチを例に挙げ、地図上の位置と窓の外を見ている車窓の風景は全く一致しておらず、窓の風景から円形のどこに居るかはわからないが、頭のなかではそれを翻訳して無理に一致させて違和感を解消させているのだそうです。地図は何を映しているか、地図にかかれて現実の空間にないものまたその逆はなにかを考えると地図の本質がわかると。石川さんが学生に対していつも聞くことがあり、それは地図上に大きく扱われているのに現実に見えないものはなにかということです。つまり地図に示されているほとんどのものは社会的な約束事(社会制度)であって物的には存在していない。制度を地理的にマッピングして表示しているだけであるそれを地図と読んでいると。
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一方地図から読み取れないものというのは街をうごく人々、緑、のようにに印刷では捕らえきれないものは描かれず、地図に描くものを選択的に選び取って「われわれは最低これだけは把握しなくてはならない」ものをディスプレイしているそうなのです。
また「地図にマッピング」するという行為については。
たとえばいくつかの要素を並べただけではばらばらの要素であるが、あるルールに従って配置することによって一つ一つの属性からはわからないあるパターンや傾向のようなものを読み取ることができる。
最近のyahooの各地のドメインでの検索語の違いを県ごとマッピングしている例を挙げ。それぞれの要素だけではわからない関係性が付加されより高い異次元の要素をよみとることができるというのです。まさにダイヤグラムですね。
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石川さんが土地の微細な変化を可視化するために使っているツールをご紹介いただきました。国土地理院が発行している「5mメッシュ標高データ」というもので航空機をつかったレーザー測量でデータを集めて市販されているものです。これをさらに「カシミール」という電子地図を編集できるフリーソフトを利用して3D化し研究に役立てているそうです。
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空撮の場合、都市化した場所は道路と建物しか見えませんが、昔の河川改修のあとなど、歴史が地面のうえに傷跡のように残っていていまでも土地利用に影響を及ぼして建築物などに影響しているのです。東京湾岸の埋立地では、全く新しい地形が生み出されていて、埋立地は標高が高く作られる傾向があるようです。東京湾は海に向かうほど坂になっていて、低地の区は埋立地が一番高いという事実を地図で見せていただきました。
そしてごみの処分場である、中央防波堤外側処分場はなんと標高30mもあり、上野や本郷よりも高いのです。城南島海浜公園やお台場からエアーズロックのようにそびえているそうです。また石川さんはGPSをつかい自分の歩いた軌跡で絵を描いたりもしていて様々な試みと理論的に巨大な絵画を見せていただきました。
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川口には特注の鋳物を依頼しに工場へいったり、安行へ樹木を探しにきたりしにいったりと川口にはよく訪れるそうで、事前に川口の土地の高低差もグラフィック化していただき会場のみなさんにもご覧いただきました。
なかでも蛇行した芝川の古い流路が土地の起伏として残っていたのには大変驚かされました。
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最後に川口の地図を皆さんにプレゼントとしてお持ち帰りいただきました。
「5mメッシュ標高データ」はすごい解像度で、今まで見たことのない世界を体験できなような気がします。
石川さんのこれからの活動が楽しみですね。
次回まちの断片は10月です。

06. 8月 2009 by CDC STAFF
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