「まちの断片」 第四回 五十嵐 太郎さん

「まちの断片」第4回は建築批評家の五十嵐太郎さんです
「まちの断片」第4回は建築批評家で多くの本を書かれている東北大学准教授の五十嵐太郎さんを招きました。


最初に五十嵐さんの活動や書籍についてご紹介頂いてから
「要塞化する都市空間」からお話していただきました。
五十嵐太郎さん、その2
最近よく耳にする「体感治安」について。
警視庁の犯罪発生マップを例にあげ、「あなたも潜在的な危険にさらされている」という不安を地図的な想像力が結びつけられているのだそうです。そしていわゆる”犯罪本”(犯罪についての不安や恐怖を煽る内容)の増加から、「もはや日本は安全ではない」という統計されないがメディアに取り上げられやすい事件が世相を反映しているのです。
一方、1970年代の建築家設計の住宅はコンクリートを張り巡らせて外部に閉じているのに対し1980年代以降はガラスを多用した視覚的にも外部にオープンになるという逆の方向にむかっていると指摘。また小規模の街区の単位でゲートからのみ出入りが可能な街”ゲーテッド・コミュニティ”(通用ゲート付街区)が増加している傾向について、エドワード・ブレークリー著「ゲーテッド・コミュニティ」の中から一文を紹介いただきました。
“住宅は安全性を求めるが、より広義では彼らは管制をもとめている”
日本においてはセキュリティタウンと称して「リフレ岬」が監視カメラを使いインターネットで公園など街を監視できる街として誕生しました。
そして話は「排除型ベンチ」へと移ります。
この排除型ベンチとは、ベンチのように公共空間に存在し、人々に休息を与えるように存在しながら形態はその逆を表現しているようなものだそうです。たとえば突起物などで寝そべれないようにしたり、空いたスペースを埋めるようにプランターが置かれたいたりすることです。はっきりと排除しますと述べていないが明らかにそう見えることが重要。
五十嵐太郎さん、その3
五十嵐さんいわく「あやしいベンチ」とも呼ぶそうですが、設計としての観点では機能的なベンチの設計者は簡単に「あやしいベンチ」を設計できるというのです。
それは「座りやすい椅子を研究するということは、座りにくい椅子のデータを蓄積することでもあるから。」と建築批評家らしいご意見。
五十嵐太郎さん、その4
そして話は監視カメラへ
代表的なものは2002年歌舞伎町の雑居ビル火災を契機にまちの治安をよくするよいう名目で新宿区歌舞伎町の中に堂々と設置された50台が始まりで、それから続々と浸透してゆきます。この急速な設置の原因はカメラが小さくなったことと、安価になったこと等があげられるそうです。
五十嵐太郎さん、その5
民間の警備会社ができたのは東京オリンピックのときで、つまり国のイベントなどのためにできた会社が企業へ、そして90年代以降にはテレビCMでも見られるように個人宅へと需要をのばしています。
見る見られる関係をわかりやすく可視化したものに「パノプティコン」(一望監視施設)という施設があります。これはジェレミー・ベンサムという建築家が考案したドーナツ型の刑務所で囚人が常に看守に見られているかもしれないという不安から規律を重んじるようになるという仕組みです。
参考:「監獄の誕生」ミシェルフーコー
五十嵐さんは映画にもお詳しく、自分はいつも見られているかもしれないという映画をご紹介していただきました。詳細は著書の「建築的映画、映画的建築」をご覧下さい。
また、監視カメラとカメラの違いについても興味深いお話がでました。
「カメラは撮影者と被写体の視線がつながっているが、監視カメラはべつの場所でよい」というのです。たしかにカメラを撮影するときに目が合ってますね。防犯カメラのモニターを見る場合は視線が合うことはないですね。
現在の主要幹線道路に設置されているNシステムという車のナンバー読み取り機や街頭の増加する監視カメラは今後ひたすらデータを蓄積してゆき、哲学者の東浩紀が述べたような”アーカイブ検索型の権力へ”と移行してゆくだろうと。つまり不特定多数が行きかう公共空間はデータベースを基盤にスキャニングされつづけることが現実見を帯びてきているのです。以前あったような物理的なバリケードによる行動の制御ではなく、体内に埋め込まれたICチップなどを併用したデータベースによるフィルタリングによる行動のゾーニングが可能になるのです。
五十嵐太郎さん、その6
また最近話題の「グーグルストリートビュー」については。
五十嵐さんの立場からいえば、「路上で建物の外観写真をよく撮影することがあるので、グーグルの車載カメラが町並みを撮影していても違和感はあるが、受け入れるしかないだろう。」とのご意見でした。
最後にジョージオーウェルの「1984」を引用し、見られることを求めているのは我々であると。
リアルな近未来サスペンス的内容でとても興味深くお話を聞かせていただきました。お話の中に出てきた参考文献や映画などの一部ご紹介しますのでご興味をもった方はご覧になってみて下さい。
書籍
「過防備都市」五十嵐太郎
「建築的映画、映画的建築」五十嵐太郎
「情報化爆弾」ポールヴィリリオ
「1984」ジョージオーウェル
「監獄の誕生」ミシェルフーコー
「動物化するポストモダン―オタクから見た日本社会」東浩紀
映画
「裏窓」監督:アルフレッドヒッチコック 1954
「ボディダブル」監督:ブライアン・デ・パルマ 1984
「ガラスの塔」主演:シャロン・ストーン 1993
「エネミー・オブ・アメリカ」監督:トニー・スコット 1998
「トゥルーマン・ショー」主演:ジム・キャリー 1998
「24-twentyfour」主演:キーファー・サザーランド

06. 8月 2009 by CDC STAFF
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