「つくろう! うたおう! デビューしよう!」で生まれた<うた> その1

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「つくろう!うたおう!デビューしよう!WS」で完成した楽曲のご紹介と、それぞれのグループについてのお話を講師の前園直樹さんから伺いました。
まずは、アオイトリの「旅立つ彼へ」。

■「つくろう! うたおう! デビューしよう!」で生まれた<うた>
文:前園直樹(冗談伯爵)

今回、初めてワークショップの講師を務めさせていただきました。作詞、作曲、編曲、パフォーマンスとレコーディング、プロモーション・ヴィデオ製作、ジャケット・デザイン――それらすべてを統括し、プロデューサー的な目線で仕切っていくことは、じっさい始まってみると、当初想像していた以上に、たいへんでした。

しかしながら、<メディアセブン>のスタッフさんとの最初の打ち合わせで、子供たちと音楽を作るワークショップの講師の依頼を頂戴した際、「せっかくだから、ただ歌を作って終わるのではなく、しっかりと形に残るものにしよう」と提案したのは、誰あろう、ぼく自身でしたから、まったくもって仕方ありません。
参加してくれる子供たちの立場になって考えたら、半端なものではツマラナイな、と。夏休み期間中のワークショップだし、ひと夏の思い出として、この先みんなの記憶に残るような日々になれば――当初から、そんな考えをもっていました。

ご協力いただいた講師陣――新井俊也さん、田ノ岡三郎さん、田中のぞみさん、金羊社クリエイティブワークスの中村博久さんと大山昌志さん、住田桜さん――ふだんから本当にお世話になっている、信頼できる諸氏には、今回もご多忙のなか、大いにご助力いただきました。
そして、子供たち。暑い中、メディアセブンに、元気に集まってくれました。本当にありがとう。また、機会がれば一緒に遊んで、学びたい。みんなのことを、心から尊敬しています。

今回、最初に、ぼくから子供たちにお願いしたルールが、ふたつだけありました。
各人が闇雲に作り始めず、テーマを定めてから、みんなでひとつのゴールを目指そう、ということ。
曲は、3つのメロディーのかたまり(パート)で構成しよう、ということ。

みんなには、曲構成の例として、槙原敬之さんの書いた「世界に一つだけの花」を示しました。つまり、A-B-Cという、いわばポップスの王道パターンに則った形で、うたを作ろう、と。
これらのルール決めは、ワークショップの実施期間が限られている点に起因していました。なにしろ、過程を踏んで終了、ではなく、すべて完成させ配信デビューすることがゴールでしたから、制約は必須で。加えて、先述のとおり、ある程度の<型>に沿ってうた作りを進めることには、作品が自己満足に終わらず、第三者にとって受け容れ易いものに仕上がるように、という別の目論見もありました。

それでは以下、曲毎に、解説めいた追想を。
今回、集まってくれた14名の子供たちには、はじめに、自主的に3つのチームに分かれてもらいました。すなわち、最後に3つの曲と、それらのプロモーション・ヴィデオ、ジャケットが完成したことになります。
文中、墨付きの括弧で囲まれたアルファベットは、曲構成(A-B-C)を明示するための、記号と捉えていただきたく思います。

■アオイトリ 「旅立つ彼へ」

作詞:赤羽悠
補作詞:前園直樹
作曲:神野陸駆、前園直樹
編曲:冗談伯爵(前園直樹+新井俊也)

メンバー:赤羽悠、神野陸駆、小山奈桜、野崎あやめ、増田光

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初日<作詞編>の序盤、じっさいの作業に入る前、各グループ毎に、<うたのテーマ>を出してもらいました。
アオイトリのテーマは<棒人間と女の子ロック>――その独創性に驚き、そして、思わず嬉しくなりました。告知を兼ねたドキュメント動画に、テーマ発表のシーンがあるのですが、ぼく、笑ってます。

棒人間とは――プロモーション・ヴィデオをご覧いただければ判るのですが――丸いアタマのほかは細い棒線で描かれた「あの」キャラのこと。つまり、子供の頃、よくノートの端などに落書きした、パラパラ漫画の定番キャラこそが、この曲の主人公のひとりなのです。

もうひとりの主人公は、その棒人間(男の子)に恋する女の子。
ふたりの微妙な距離感を、男の子の台詞を中心に据えて綴る【A】から、女の子の主観【B】に切り替わり、【C】でアングルを引き(客観的に)、女の子の切ない片想いの心象が描かれる――このグループの要といっていい中学二年生・赤羽悠(はるか)さんによる、メカニックな詞作に、ぼくは大いに感動しました。
訊けば、彼女は学校で演劇部に所属しているのだそうで。これには納得でした。ちなみに、リード・ヴォーカルをとっているのも悠さんです。

シナリオ・ライティングの巧さという点で、このグループの詞は、初稿の時点から圧倒的なクオリティでした――驚いたことに、イントロ部分には、物語への導入を担うナレーション用の原稿まで用意してありました――ですから、ぼくが手直しを提案したのは、大きく分けて、以下の二点のみ。
ひとつは、【A】から【B】に転じる瞬間のドラマティックな効果を強めるべく、【B】の冒頭の、

あれ? いない どこにいるのかな

という詞。初稿においては、意味は同じながら字数が多く、やや状況説明(シナリオでいうところのト書き)のようになってしまっていて。【A】で楽しく話していたはずの彼の不在に気付き、焦る彼女の<心の声>をよりストレートに、より簡潔に表現して、リスナーの注意を引く――専門的な言葉になりますが――<フック>を仕込むことの大切さを提案しました。
そして、2コーラス目【C】のエンディング。悲恋の切なさを倍加するために、女の子の心象を、やや捨て鉢気味に表現するテクニックのアドヴァイス。ちょっと、歌謡曲くさいんですけど。

ふたりだけが知ってる 私だけの物語

特に前者、【B】の詞には手直しの必要性を感じましたが、とにかく、詞の出来はおおむね秀逸でした。

(注:3グループ中、アオイトリのみが2コーラス目まで完成しました。そのフル・ヴァージョンは、ダウンロード販売される音源でのみ、お聴きいただけます。)

いっぽうで、作曲と編曲については、イメージがなかなか固まらず、苦戦していました。二日目<作曲編>の時間が終了した時点で、完成していたのは、神野陸駆くんが考えた【C】パートのコード進行のみ。
そこで、まずはぼくが当該パートのコード進行を基に、すべてのメロディを考え、提案することになったのです。その出来に、みんな納得してくれた様子でしたが、もしも、これからメロディやアレンジもやってみたい、と考えている子がいたなら、今回出来なかった点は是非、今後の課題として心に留めて欲しいと思います(ぼくでよければ、いつでも、連絡を待っています)。

編曲について。冗談伯爵からアオイトリへの提案は<16ビート>のリズムでいこう、ということでした。
メロディを書くにあたって詞を読み返していると、パラパラ漫画のスピード――ノートのページが勢いよく繰られていくイメージがやはり強く印象に残ったので、そこから押し広げる形で、疾走感、グルーヴ感を重視したアレンジに帰結し、提案しました。
当初のテーマにあった<ロック>のニュアンスについては、メンバーが当初思い描いていたものとはズレてしまったかもしれませんが、<うた>の骨格である詞とメロディに似合っているのは、こんなセンスの服(即ち編曲)なんじゃないかな――そんなぼくらからの提案は、プロモーション・ヴィデオに映るメンバーの笑顔を観るにつけ、受け容れてもらえたようで。安心しました。

楽器の参加メンバーと、プロモーション・ヴィデオについても。【B】および【C】パートの重要な役回りとなっている、ディストーションを効かせたエレクトリック・ギターの弾き手は、コード進行を一緒に考えてくれた陸駆くん。
エンディングのトランペットは、小山奈桜さん。トランペット歴3年ということで、田ノ岡三郎さんが記譜してくださったメロディを、軽々と吹きました。
プロモーション・ヴィデオは、野崎あやめさんが主体となって。お手製の表に描かれた絵コンテと、撮影用の小道具類を揃えてくれたおかげで、充実の仕上がりに。
そしてもうひとり。作品の仕上がりに確実に影響を及ぼしている、増田光さんの、ムードメーカー的立ち位置。シャイだけど実は感情豊かな、グループ最年少の女の子――みんなで楽しく活動するためには、光ちゃんのようなキャラクターの存在は、不可欠です。

<つづく>

08. 10月 2013 by CDC STAFF
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