精神障害者、病院、それを取り巻く地域住民などの関係の中で、どのような環境とそこでの創造的活動から精神疾患と芸術的高揚、創造的行為の創発的な現場が立ち現れるかということを、実際の現場(病院を取り巻く地域全体)で、長期にわたる連続的なワークショップを通してレポートしていく。そしてそこから見い出されてくるデータから精神疾患と芸術表現のかかわりの新たな関係を見い出すための場として、独自の建物とそこで行ういくつかの活動プログラムを作った。それらを総称して「エポックハウス」と名付けた。
どこの地方でも見られるビニールハウスを利用して建てられたスペースは、透過性があるスペースのため、外部と内部の中間のスペースがイメージされ、そこで過ごす時間が参加される人たちに一つの特異な経験をもたらす。2003年11月の浅井病院文化祭にてEpoch Hausを2日間設営。第一期Haus 2004年7月-2005年7月(浅井病院敷地内に設営)、第二期Haus 2005年12月-2007年2月(浅井病院敷地外 駐車場に設営)。
この建物のなかで行うワークショップとして、たとえばビデオカメラを個人に与えて、日常生活を撮影してもらう「ビデオダイアリーワークショップ」。日常生活を「カメラ」という視点から再構成する。ダイアリー(日記)形式の映像撮影を通してそれぞれの時間と経験を見直す機会となること。また参加者が撮影した記録の上映会を定期的に行う。
また自画像を描くことが年間のテーマである「セルフ・ポートレイトワークショップ」をこの場所で精神障害をもつ患者、地域住民、病院関係者などを対象にして行う。絵を描くことの楽しさの一つに描くことで見えてくる発見がある。なかでも自分の姿と言うものをここでは年間のテーマとする。それは芸術家が常に自己認識の手法の一つとして自画像(セルフポートレイト)を描くことを行ってきた。このことを精神疾患の時期の患者との関係で試行する。
このようなワークショップ、レクチャー、シンポジウム、ライブラリーなどの機能をもったEpoch Hausのさまざまな試みのなかで、地域における精神医療と芸術表現の関係を考えて行くことが、我々の活動である。
Period:2004.07.24 – 2005.07.02