おんがくのながれるまち

町の素晴らしい環境の中で室内楽演奏会開催の提案です。

会田大也さん(研究会の企画・コーディネート)のコメント

芸術を愛する人が、その土地で芸術を愛でたいという思いは、とても純粋で美しいものであります。こうした思いを持った人の周りに、同様の思いを持った人が集まれば、一つの大きなうねりとなり、成果や実績へと繋がっていくことになると思います。

実際には芸術には様々なジャンルがあり、これら多様な芸術は、商業的に成立する/しないということと、歴史上重要かというのは必ずしも結びつかないという難しさがあります。ゴッホの作品が没後に評価が高まったことは有名です。その中で、演劇(の一部)や、クラシック音楽、室内楽というのは多くの愛好家や観客がいて、商業的にも成立している芸術ジャンルでもあります。

発表においては、島さんの思いはとても熱く伝わってくるものがありました。あとはこれを実現させるために、どんな課題がありそれらをどのような手順で解決していくのか、ということを考える手順になると思います。幸い、発表の中でも「数名の仲間が集まってきた」という事は触れられていました。このメンバーの中で実現へむけての具体的な手順を検討していただけたらと思います。

ちなみに、公共と芸術の関係性という論点は、専門家も含め様々な議論が行われ、結論が出ていません。多様な人が楽しむジャンルこそ、公共性が高いのだから公共のサポートが必要だ、という議論もあれば、多くのファンがいるジャンルは商業的にも成立しているのだから、むしろ公的なサポートが必要なのはマイナーなジャンルなのではないか?といった意見もあり、この議論に結論を出すのは難しいのです。図書館というのは一つのヒントです。図書館の本は多様な主張・表現の集積です。これらの多様な表現に無料で触れられる場を担保するのが公共図書館の掛け替えのない役割です。美術表現も同じく、マイナーであることは価値が低いと決めつけられない。なので、「人数が多い=公共」と結びつけてしまうのは安易な帰結の導き方だという指摘です。

今回、地元向けのシティプロモーションを考えていく私たちが検討するべきことは、島さんの思いをより広く町民の方々へ届け、仲間を募り、実現へと結びつける手順や道筋を作る事だと思います。町の施策のなかには歴史文化への予算は明文化されていましたが、現代的/今日的な芸術文化への予算のバランスがとれていないようにも見受けられました。過去の歴史が活きるためには現代においてそれらがどういう意味を持つかの検討が重要です。こうした視点を提言していけるようなグループが町内に育っていくことを期待したいと思いました。

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