人口半減に直面する富士見町の次世代町民の為に我々現世代が実施できる3つの取組

人口減問題の分析とそれに対する有志の会の取組、町への提言です。

会田大也さん(研究会の企画・コーディネート)のコメント

信頼のおける事実(Facts)を用いて現状を分析し、そこから導き出した課題に対して解決策を示して頂きました。発表内容については、

課題:人口減少の現実
方針:2030年までの10年間に集中して対応(国、県の行政指針+独自の行政能力)
とりくみ:

  1. まちづくりリーダー懇談会 の定期開催
  2. 新たな自然財産を探す会 の発足と定期開催
  3. 風土と文化の醸成活動 の実施

という形でまとめることができると思います。とりくみの3つの活動それぞれが、どの程度の効果予測をもって連携しているのかという点は不明ではありましたが、2および3のとりくみでいえば、どんな土地であってもその土地固有の資産(自然環境や文化的な文脈)を活かすということに異論がある人は少ないと思います。

1については実現できれば力強い実行力を伴った活動になると思います。ただ、他の地域で似たようなとりくみの機運を感じることもありますが、実際にはなかなか実現していきません。どうしても参加メンバーが代表している組織や団体または企業など、背負っている責任から自由になって闊達な議論を交わすというのが難しい、という現実があります。これらのしがらみを離れて我田引水にならないように振る舞うのは難しいというのが、実際なのでしょう。全体としての最適解が、自分の業界へのダメージを伴うものであったら、それを認めるのが難しいというのは想像に難くないです。

視野の範囲をどう設定するのか?巨視的な視点では正しいけれど、微視的な視点では認めがたい、選びたくないような選択があった場合に、どう折り合いをつけるべきなのか?こうしたことも、世代を超えた地域の未来を見据えた時には考えておくべき論点なのだと思いました。

そうした意味でも、直接/間接に多様な利害関係を持つ関係者が一堂に会して、未来について検討する事はとても価値があります。場合によっては統一の価値観による落とし所を見つけられないこともあるかも知れませんが、それでも対話の姿勢を崩さずに粘り強く議論を重ねて行かなければ、本発表にあるように人口減少課題に対して何も進まず、ただ状況に巻き込まれていくだけとなってしまうと思います。私個人としては、実は重要なのは継続性なのだと思っています。

2や3のとりくみに限らず、実施主体メンバーが活動そのものにやりがいと楽しみを見つけているグループというのは、活動が継続していきます。継続する活動の中でマンネリに陥らずに常に新しいことを探している状態、それが地域住民の魅力としても捉えられる。誰からにやらされている訳でもなく、自ら楽しみとして活動を展開している地域住民が暮らしている場所が魅力的に見えないわけがありません。たとえ趣味であっても、それが個人の趣味の範囲で完結せず、何かしらの形で”公”へと繋がっていれば、それは結果として地域の魅力を高めることになっています。これはまたゲストでお呼びした渡邉賢太郎さんの言う所の、「貨幣経済とは別のレベルで交流して繋がっていく、人的な経済活動」と言えると思います。

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