岡啓輔さん|トークイベント

岡啓輔さん
みなさまこんにちは
ヤキュージョーです
4月26日建築家でありアリマストンビルのオーナーである岡啓輔さんをお招きしました


近年の川口は東京のベッドタウンとして工場跡地にマンションが林立するようになりました。都心からも近く比較的安い価格でマンションが買えるそうで、川口に移り住む新しい家族が増えているようです。
さて私たちの住む場所というのは出来上がった家や部屋を買ったり、借りたりしており、それが当たり前のようになっています。しかし世の中には土地の購入から設計、施工まで全部自分でやる人がいるのです。
今回のゲストの岡啓輔さんもその一人。都内の一等地でそのすべてを自分でやりきろうとしています。
岡さんは子供のころ大工さんに憧れて以来、高等専門学校で設計を学び自分が建築物を設計するときはどうあるべきなのかをずっと考えてこられた方なのです。
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その岡さんの設計思想は「高山建築学校」という夏に飛騨高山で開かれるセミナーに強く影響を受けています。また、今まで建物のあらゆる分野に携わり、土方、型枠、鉄筋、鳶などの施工から1級建築士取得もされています。
また東京では働きながら岡画郎というイベントスペースを毎週開いて、土曜日にだれでも参加できるサロンのような場所を設け、8年間様々な人々と交流し、展示などを企画・運営されました。その時の経験は岡さんにとってとても有意義だったと話しています。
その岡さんが慕っていた高山建築学校先生が亡くなられて元気を無くしている時期に奥さんから「自分で建てちゃえばいいじゃない」と言われて建設計画にとりかかったそうです。
いままでの建物に関する知識や経験から最初は3年ぐらいで完成すると思った。しかし現実はすでに6年半がかかっており、今後更に3年はかかりそうと岡さんはいいます。
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この建設中のビルはアリマストンビル(蟻鱒鳶ル)という名前ですが、ある特徴があります。躯体はコンクリートでできているのですが、とにかく固いのだそうです。
水の割合を下げてセメントの比率を高くして圧縮強度を強くしているのです。
頑丈なコンクリートは中性化しなくなるのでひび割れの要因も減少し、様々なマイナス要因が取り除かれて寿命が飛躍的に伸びるそうなのです。
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「ふつうのコンクリートは35年が寿命といわれるがうちのビルは200年もつ」
現在の一般的な工事現場では作業効率や短期的なコスト削減が原因で水の比率が高い柔らかいコンクリートを使うのだそうですが、寿命の短いコンクリートを次々と建設することは日本にとって重大な問題だと岡さんは指摘します。
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また、コンクリート打設の作業はたいてい1層分3mから4mを一日で打ちます。この規模を一気に打設すると型枠が崩壊する危険性がとても高いので、岡さんは70cmづつぐらいの高さすすむようにしているそうです。すると破裂の心配もなく、一人でできる無理のない作業ペースが守られるといいます。
通りすがりの方にはよく声をかけられ、特にお年寄りと子供の反応はいいそうです。
あと3年と考えると少し気が遠くなりますが、ケガをしないように完成してほしいですね。「お近くに来られたときは是非立ち寄ってください。」とのことです。
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岡さん、参加者のみなさんありがとうございました。
アリマストンビル建設の様子は以下のブログでもチェックできます
岡さんの公式ブログ
「蟻鱒鳶ル保存会」
http://arimasutonbi.blogspot.jp/
2006年から岡さんの建設現場を観察している磯達雄さんのレポート
「ひとりでビルを建てる男。」
– 岡啓輔さんの、手づくりビルができるまで。 –
http://www.1101.com/selfbuild/index.html

22. 5月 2012 by CDC STAFF
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